坂田琴音

ああでコーデ
雨です。雨は瞬く間に頭ん中をセンチメンタルな気分でいっぱいにさせてくれます。そしてついでにタイムマシーンのように半世紀ほど遡ってくれます。初めて東京に行ったのは中学生の修学旅行。ガイドさんが赤坂見附を説明していた。一瞬、赤坂見つけたん?というツッコミが頭に浮かんだが、それよりもバスの窓から見える雨の赤坂に心を奪われていた。オレンジ色の街灯を映す濡れた道路。窓ガラスの水滴に滲むオフィス街の明かり。悲しいこともないのに泣きそうになった。♫ ワンレイニーナイトイン東京 濡れた歩道には揺れる灯火が何故か切なくて……当時流行っていた「ワンレイニーナイトイン東京」(ブレンダ・リー 日本語版) が聞こえてきて中学生の心を切なくさせるのでした。…、えーとなんでした? そう、ことほどさように雨はセンチにさせるっていうはなしですね。坂田琴音さんの雨に映えるパープルのライトコーデュロイのワンピと傘、バッグ、ブーツとのツートンコーデはもう最強。本人は(もちろんそんなこと)意識していないだろうけれど、わたしを半世紀前に引き戻す力を秘めたパワーオブコーデなのでした。
 
2020-10-25