歩き方がへなちょこだった

　吸い込まれそうな深くて大きな黒い瞳が、目の中でクリクリっと動く。
　大阪が好きで、福岡から出てきた。「大阪に行きたかった。大阪はあったかいので大好き」。フッと表情が和む。「大阪は本音で会話できるし、人と人のつながり方、距離の縮まり方の壁がとても低い」とこよなく大阪を愛する。
　10代のころに「自分を表現して、社会に認められたかった」とモデルにあこがれた。「チャンスがあれば」と大阪に出てきてレッスンを始める。
　「10代のころの考えは木っ端みじんに打ちのめされましたね」と、厳しさに直面した。「歩き方がへなちょこ」だった１年目。「厳しかった」レッスンを必死で乗り越え、２年目に「ようやく見えてきた」と視界が少し開けた。
　そして今は「自分を客観的に見れるようになってきた。一生懸命やるだけ」と、大きな黒い瞳が、これから歩く道のりをしっかりと見つめる。

（ヘアメーク　増谷祐佳）2012-11-21