色づくつぼみのように

　後は開花を待つばかりの桜のつぼみの膨らみのように、美しい期待感があふれる。かわいらしい笑顔の向こうに、夢に向かう階段がはっきりと見える。

　小学５年の時に炭酸飲料のＣＭに出ていたモデルに魅せられた。「かっこいいなって。憧れました」。そして高校１年の時に、東京の事務所の最終オーディションに残った。

　「初めて新幹線に乗って」上京。だが、結果は特別賞だった。「１番じゃないと嫌だった。悔しくて」。家族のバックアップの申し出もあったが、その時は東京行きを断念した。

　そして２年前の春。神戸コレクションを見に行った時に、再びチャンスが巡ってきた。ブースでウエディングドレスを試着し、写真撮影をしていたときに声をかけられた。「体験レッスンが楽しくて、私のやりたいのはこれだ」と思った。

　「これからはモデルに集中できる」。高校を卒業し、仕事にまい進する。そしてモデルへの道が開いた神戸コレクションには「４年後までには出たい」と誓った。「やれることからやっていく」。つぼみがさらに色づいた。

　（ヘアメーク　増谷祐佳）2016-3-21